ふだんの暮らしを考える

ガリ作業所では重度の知的障がいを有する方が多数活動されております。今、課題となっているのは自宅以外の生活拠点をどう考えるのか??といった事です。自宅を出る理由としては、ご家族の加齢に伴いご本人へのケアが困難となった場合が大半ですが、その他では親の入院、他界、家族の虐待、本人の心身の大きな変化など、急を要する場合もあります。

 その際は多くの方が地域のグループホーム(以下、GH)を探されると思います。事実、住吉区で少しずつ整備されていっておりますが、GHも運営の問題(採算や働き手の確保等)も数多くあり、ニーズに対してはまだまだ整備が追いついていない側面もあります。

 また他には施設入所等もありますが、現在住んでいる地域より遠く離れてしまう可能性も高く、GHと同様に、希望する施設に容易に入所できない場合が大半です。

 オガリ作業所の利用者の中には民間のマンションで一人暮らしをされている方もおられます。中には支援区分6で行動面の障がいを有する方もおられ、居宅介護(ヘルパー)の重度訪問介護を利用しながら、地域での生活を望まれるケースも出てきております。ご本人やご家族からすると「生活環境が変われば不安になり、情緒や行動面にも何かしら支障をきたす恐れが…」という事もあり、実家から活用していた社会資源(店、病院、サービス事業所…)をそのまま活用しながらの生活を送りたい…といったニーズも多いです。オガリ作業所のご家族からもそのようなご相談をよく受け付けます。

 一人暮らしの課題としては①大家や管理会社、周辺住民の理解 ②地域資源や制度面の活用 が考えられます。特にヘルパーのサポートは特に重要となってくるのですが、常時見守りや支援を要する方への派遣時間数(通常で月301時間まで支給)が足りない事が多く、ショートステイを活用しながらの生活になる事が多いです。特にサービスのマネジメントを行うことが多い相談支援専門員からの緊急時の対応に関する相談も受けることが多くなっております。

 ふだんの暮らし(当たり前に自分の家で生活する)が、現行制度内では満足に送れない方も多く存在することはまだまだ大きな課題であると考えます。ご本人、ご家族と共にこの「ふだんの暮らし」についても向き合い考え続けていきたいと考えております。

ガリ・住吉総合福祉センター生活介護 責任者 大藪聡